■株式会社
■取締役
■在任中
在任中に会社の取引先の奪取を企図して競 業会社の設立準備に関与したことが会社に対する不法行為とされた裁判例や, 取締役が在任中に競業会社の設立準備を行った行為が忠実義務違反に当たる として解任する行為は不法行為に当たらないとした裁判例等に照らせば,取 締役が競業会社設立の企図をもってなす意思行為そのものが不法行為に当た るのであり,原判決の判断は誤りである。
また被控訴人Yが控訴人在職中に 競業会社の設立準備を行った行為は取締役の忠実義務に違反する行為である。
原判決は,雇用関係終了時の競業避止義務等について,就業規則等に規定 - 4 - があるか合意した場合を除き職業選択の自由の範囲内であるとした。
しかし,会社の従業員は使用者に対して労働契約上の債務を忠実に履行し, 使用者の正当な利益を不当に侵害してはならない信義則上の義務を負ってお り,これは契約書や就業規則に定めがあるかないか否かとは関係がなく,ま たこのような信義則上の義務は退職後も存続する。
控訴人は,原審においても営業秘密についての主張を行っているが,原判 決はこの点を判断していない。
すなわち,控訴人が主張する営業秘密は,マキムラ等の得意先に対する永 年にわたる控訴人の営業活動により培われた優先的商権である。
マキムラ等, 控訴人の取引上重要な得意先は,控訴人の営業活動にとり欠くべからざるも のであり,被控訴人Yの在職中及び退職後の営業秘密侵害行為は,不法行為 に該当する。
また控訴人においては,社則の服務規律において,「業務上の機密事項や 会社の不利益になる事項を他に洩らさないこと」「会社の経営権を尊重し」 「在籍のまま,許可なく他の職に就かないこと」などを定めて社員の行動規 定を明記し,原審においてもその旨主張していた。
これは当審において提出 した甲32〔会社の勤務に関する規定〕からも明らかである。
株式会社サン・ルック(以下「サン・ルック」という)は,同社専務のB が被控訴人Yと同級生であったことから平成13年1月ころから控訴人と取 引が始まり,その協力で控訴人からセラビへの販売も成功した。
サン・ルッ クと控訴人との取引は被控訴人Yが退社した後途絶したが,被控訴人Yはこ れら控訴人在職中に得た営業情報により,退職後にセラビから受注し,サン ・ルックの口座を介して納入しているとも考えられる。
これも,被控訴人Y が不正競争防止法上ないし信義則上禁止される退職後の競業行為ないし営業 秘密侵害行為に当たる。
3 被控訴人ら - 5 - 控訴人の主張 に対し 被控訴人Yが控訴人から独立してエスツーコミュニケーションの代表者 に就任したことは控訴人代表者も承諾済みであり,小鍛冶商事との取引の件 についても解決済みである(乙5〜7)。
被控訴人Yが控訴人を退職する際には,控訴人会社の社員を同行して引継 ぎをし,また株式会社アルバローザには控訴人代表者を同行して引継ぎをし ている。
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相続とは
相続とは、人間の死後に、その人が有した遺産を、特定の人に承継させることを指す。
一般的には、自然人の死亡を原因とするものを相続と称することが多いが、死亡を原因としない生前相続の制度(日本国憲法が施行される前の日本における家督相続は、死亡を原因とする場合もしない場合も含む)も存在する。
亡くなった人を「被相続人」、権利義務を承継する人を「相続人」といい、人の死亡によって相続が発生することを「相続の開始」という。
相続に関する規定には遺言により民法の規定と異なる定めをすることができる任意規定が多く含まれる一方、遺留分規定のように遺言での排除を許さない強行規定も存在する。
被控訴人Yが衣料関係の仕事を本格的に行ったのは,控訴人会社退職後半 年ほど後からであり,それまでは次世代携帯電話事業との両にらみの状態で, 生活の糧を得るため細々とやっていたにすぎない。
控訴人の主張 に対し 控訴人主張の裁判例は何ら本件に当てはまるものではない。
被控訴人Yの 行った行為は,控訴人における業務の一環として行ったものである。
控訴人の主張 〜 に対し 否認ないし争う。
なお控訴人は原審(平成19年6月22日の第7回弁論 準備手続期日)において,不正競争防止法に関する主張は撤回している。
第4 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人の被控訴人らに対する本訴請求はいずれも理由がないと 判断する。
その理由は,次の2において説示するほか,原判決記載のとおりで ある。
2 控訴人の主張に対する判断 控訴人は,前記第3,2, ア・イにおいて,原判決の事実認定の誤りを 主張する。
上記主張に沿うかのごとき証拠として,控訴人代表者尋問の結果及び同人 の陳述書(甲5,16,17,23)等があるが,これを否定する当審証人 Aの証言及び同人の陳述書(乙4),同じく被控訴人Y本人尋問の結果及び - 6 - 同人の陳述書(乙5)等に照らすと,上記の供述等はただちに措信し難く, 控訴人主張の他の書証を併せ考慮しても,他に控訴人の上記主張を認めるに 足る的確な証拠はない。
次に控訴人は,前記第3,2, において,取締役たる被控訴人Yが競業 会社設立の企図をもってなす意思行為そのものが不法行為に当たる等と主張 するが,これを認めるに足りる証拠がないことは,上記 記載のとおりであ る。
控訴人は,被控訴人Yの手紙〔甲34の1〕によれば,被控訴人Yは控 訴に在職中から独立の意思を有していたとするが,仮にそのような事実が認 められるとしても,独立の意思を有すること自体をもって法的に違法という ことはできず,かつ,被控訴人Yにおいて,忠実義務違反,競業避止義務違 反行為が認められないことは上記のとおりである。
また控訴人は,前記第3,2, において,会社の従業員は使用者に対し て労働契約上の債務を忠実に履行し,使用者の正当な利益を不当に侵害して はならない信義則上の義務を負っており,この義務は退職後も存続する等と 主張する。
しかし,被控訴人Yが控訴人会社在職中及び退職後に使用者たる控訴人会 社の利益を侵害する行為をしたことについての的確な証拠がないことは,原 判決及び上記 において説示したとおりであり,控訴人の上記主張は採用 することができない(なお,控訴人が当審に至り提出した甲32〔会社の勤 務に関する規定〕にも,退職後の競業を禁止する旨の規定は置かれていな い)。
アまた控訴人は,原審において営業秘密に関する主張を行っているのに原 判決はこの点を判断していない等と主張する。
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